春夏秋冬叢書 発行物「寄道道草 東海道」


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「寄道道草 東海道」

磐田見付から知立まで東海道十二宿。
婆ちゃんと爺ちゃんと孫娘が歩いた。

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文/宮本真理子
写真/櫻井祐輔

B6判(186×128mm)/ハードカバー/256ページ
定価 3,000円(税別)
ISBN4-901835-06-8 C0326



目次

はじめに/見付宿/浜松宿/舞坂宿/新居宿/白須賀宿/二川宿/街角残照/吉田宿/御油宿/赤坂宿/藤川宿/岡崎宿/池鯉鮒宿/撮影後記




いよいよ東海道五十三次のうち、十二の宿場町を婆ちゃんと歩く。見付宿は今回の旅の一番最初の宿場町ということもあり、私は少し緊張していた。婆ちゃんはといえば、「磐田といえばあの人がいらすね(いるね)。」と、お気に入りのゴン(中山雅史選手)の笑った顔を思い出しているようだ。実に気楽なものだ。その日の朝は小雨が降っていたが、昼には晴れるだろうと決行した。…






見付天神社
太宰府天満宮や北野天満宮と同じように、社殿の両側に道真の使いといわれる雌雄の牛が向かい合う。牛の体に触れて願をかける「願かけ牛」で、正面に向かって左が雌、右が雄。どちらもよく似ているが、角の大きさと角度がほんの少し違う。…

見付宿は東海道と姫街道の二つの街道が交わる宿場町として賑わった。見付本通りと名付けられた道を真直ぐ進むと突き当たりに姫街道の入口がある、その道は池田の渡しがある天竜川への近道でもある。






浜松から約七百メートルにわたって松並木が続き、その手前で片側進入禁止。一旦、国道一号線に入ってから黄色い提灯の形をした街灯が立つ東海道に入る。当時、宿場町の両端には番人が見張りをした場所があり、その場所を見付と呼んでいた。舞坂宿の見付には茶色がかった大小の石が道の両側に積み重なっている。ここを見付石垣といい、当時はこの見付石垣まで松並木が続いていた。

潮見坂は通るたびに「海だ!」と声に出してしまうほど気持ちがいい。もちろん昔の潮見坂ではなく、国道四十二号線(旧国道一号線)。特に愛知県から静岡県へ入る時、坂を下っていく途中に見える遠州灘が気に入っている。






 潮見坂を登り切ると白須賀の宿場町が佇んでいる。もとは海岸線に沿った元町にあったが、宝永四年(一七〇七)の大津波で大半の家が流され、翌年、現在地の潮見坂の台地に移った。





二川宿は二つの村が合体してできた宿場町。初めは梅田川の南にあった二川村と約1.3キロメートルほど離れた二川駅前周辺の大岩村の二村で一宿分の継立を行っていた。しかし、参勤交代により交通量も増し、距離を隔てた二村の継立は不都合で、経済的に苦しかった。そこで、正保元年(1644)に二川と大岩村が現在の場所に移動統合した。表向は二つで一つの宿場町だったが、大岩はあくまでも加宿としての役割のみで、本陣、脇本陣、旅籠はすべて二川側にあった。…

大名行列
毎年、秋の十一月第二日曜に本陣まつりが開催される。午前中は祭りの気配がしなかったが、午後一時の大名行列が始まると、仮装をした子どもや大人が続々と集まり…





御油の松並木を抜けると音羽町、赤坂宿に入る。赤坂と御油の距離は一・七キロメートル。二宿で一宿の役割を果たし、赤坂宿も遊女で賑わった。東海道沿いの交差点に赤坂紅里という名がある…

旅籠大橋屋
大橋屋は赤坂宿で今も現役で旅館を営んでいる。創業慶安二年(一六四九)、
現在の奥行は二十二間(約四十メートル)で全盛期の三分の一の長さだが、家の中でキャッチボールができるほど広い…





藤川宿は国道一号線と名古屋鉄道名古屋本線に沿って宿場町が続く。名鉄藤川駅が藤川の中心で、藤川小学校の前には宿場町の出入口を示す西の棒鼻跡が立ち、そこから東へ進むと脇本陣跡の門の奥に無人の藤川宿資料館がある…





国道一号線から東海道へ入ると、左側の民家の脇にさらに細くなった道がある。手前左に木の棒、右に「東棒鼻跡」と書いた立て札がある。広重が描いた浮世絵「棒鼻ノ図」を参考に平成五年に作られたが、広重の絵とは棒鼻と立て札の位置が逆になっている…

池鯉鮒宿。東海道五十三次の宿場町のなかでは、最も読みにくい地名だ。知らなければ「ちりふ」とは読めないだろう。「池鯉鮒」の漢字を当てた理由は、御手洗池に鯉と鮒がいたからという説があるが定かではない。「ちりゅう」の語源は、知立神社を建てた、伊知理生命の「知理生」、茅や菅が繁るから「茅立(ちりゅう)」、アイヌ語の湿原地を意味する「チリップ」など諸説ある。…

池鯉鮒の松並木
国道一号線の柿碕交差点から分岐する道が東海道。ぼつぼつと松が立ち、妙教寺の前に「助さん」、「格さん」の名札を付けた松が二本、寄り添うように立っている。松の間には「三河路に昔をしのぶ夫婦松」と妙教寺の前住職が詠んだ看板もある…